学名:Cervus nippon
英名:Sika Deer
分類:哺乳綱 鯨偶蹄目 シカ科
サイズ:体長100~150cm程度
鳴き声:ピューーーー
分布:北海道、本州、四国、九州
レッドリスト(絶滅危惧種):
・環境省RDB:絶滅の恐れのある地域個体群(鹿児島県野毛島のニホンジカ)
・絶滅種:佐賀県(亜種ホンシュウジカ)
・鹿児島県消滅の恐れのある地域個体群:甑島列島のニホンジカ(亜種キュウシュウジカ)
・情報不足種:青森県(亜種ホンシュウジカ)
・天然記念物指定:奈良のシカ(奈良市一円のシカ)
概要、特徴、生き方など
日本の山林に生息するシカです。
複数の亜種に分けられ、北海道に生息するものはエゾシカ(蝦夷鹿)、本州のものはホンシュウジカ(本州鹿)、九州のものはキュウシュウジカ(九州鹿)と呼ばれています。そのほか、屋久島や慶良間島などにも固有亜種が生息しています。
特に本州では、個体数が増加し、森林の下草を食い荒らし、森林荒廃の原因などにもなっています。個体数が多いので、森林内で死ぬ個体も多く出てきますが、こうした死体は、タヌキやツキノワグマ、イノシシ、キツネ、テン、ハクビシン、クマタカ、トビ、カラス、無脊椎動物などにより、気温にもよりますが、1週間程度で処理されます1)。
奈良公園のニホンジカ
奈良公園のニホンジカは、古来より神の使いとして扱われており、文化財保護法のもと「天然記念物」に指定され、保護されています(奈良公園のニホンジカを傷つけたりすると、文化財保護法違反で逮捕されます)。
開発や狩猟により奈良公園の周辺のニホンジカ集団が1000年以上も消滅状態であった中でも、奈良公園のシカは保護されていたため存続してきました。そのため、遺伝的に見ても、1000年以上にわたり、周辺のニホンジカ集団との交雑がなかったと推定されており、周辺地域のニホンジカに近縁ではあるものの、独自の遺伝子型を持つ集団として成り立っています2)。狩猟や開発で奈良公園周辺のニホンジカ集団を消滅させたのもヒトであり、奈良公園のニホンジカを保護していたのもヒトであることから、奈良公園のニホンジカは人間活動が動物集団に与える影響を示す、非常に興味深いニホンジカ集団です。
食料としてのニホンジカ
野生鳥獣の中でニホンジカは捕獲数も多く、ジビエの中でも最も多く流通しており、ジビエ全体の40%程度を占めています3)。
ジビエと言うと獣臭い肉をイメージするかもしれませんが、適切に処理された肉を、ウデの良いシェフが調理すると、獣臭さなど一切なく、声を上げるほどおいしいです。特に亜種エゾシカは、脂っこくなく、肉々しい歯ごたえはありつつもほどよくほどけ、肉に旨味が凝縮されていて本当に絶品です。
自然界での役割(サイト管理者の私見です)
地面に生える草や低木の葉などを餌にしていることから、そうした植物が光合成によって蓄えた栄養を、肉食動物が利用可能な動物性の栄養に変換する役割を果たしているのではないかと考えられます。また、草などが繁茂しすぎることを抑える役割もあるかもしれません。ただし現在はニホンジカが増えすぎ、その役割のバランスが崩れ、山の中などで下草が食い尽くされ、土壌の流出や生物多様性の劣化など、様々な影響が生じています。
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