カブトムシ(兜虫)

学名Trypoxylus dichotomus
英名:-
分類昆虫綱 甲虫目(鞘翅目)コガネムシ科
サイズ:7cm前後(♂成虫)
時期:夏(成虫)
分布:本州
レッドリスト(絶滅危惧種):掲載なし

カブトムシ成虫♂
カブトムシ成虫

概要、特徴、生き方など

 いわずと知れた昆虫界の人気者。樹液の出る木の幹で、ツノを使ってクワガタムシや他のカブトムシと戦います。戦い方は、頭部の大きなツノを他のクワガタムシカブトムシの腹の下にツノを差し込んで、そのまま持ち上げ、投げ飛ばしてしまいます。胸部に小さなツノが付いていて、相手を挟み込めるようにもなっていますね。

 このカブトムシのツノは、頭部と胸部の皮膚(外骨格)が飛び出た(伸びた?)ものです。一方で、クワガタムシのアゴは、口の一部、大あごと呼ばれる部分が伸びたものです。そのため、カブトムシは「ツノ」、クワガタムシは「アゴ」と呼ばれます。

 樹液の出る木に集まりますが、カブトムシの頭部には硬い突起(「クリペウス」と呼びます)があり、自分で木を削り、樹液が出るようにすることもあります。

カブトムシが夜行性なのはオオスズメバチのせい?

 カブトムシが昆虫界最強かと思いきや、実はそうでもないようです…。
 カブトムシは夜だけ活動する「夜行性」の昆虫と思われがちですが、実は、明け方になると、オオスズメバチが樹液場へやってきて追い出されてしまうため、夜しか樹液をなめることができない、いわば、オオスズメバチによって夜行性を強いられていることが明らかになっています(2022年 山口大学 小島渉 先生の研究)1)
ちなみに、オオスズメバチが近寄らないようにした樹液場では、カブトムシは昼頃になっても留まっているようです。
 カブトムシオオスズメバチには適わないようです…。

カブトムシの幼虫、発酵食で巨大化?

 カブトムシの幼虫は、通常は腐葉土を食べて成長しますが、エビや⼩⿂を特殊な発酵段階(70℃以上)を経ることによって得られる好熱性細菌(高温に強い細菌)を多く含有する堆肥を与えたところ、メスの幼虫のみで、通常の腐葉土に比べて大きく成長することが見出されました(2023年 千葉大学 浅野風斗さん、児玉浩明先生らの研究)2)

自然界での役割(サイト管理者の私見です)

 カブトムシの幼虫は腐葉土や朽木を食べて育ちます。そのため、落ち葉や倒木を分解して土に返す役割の一旦を担っていると考えられます。また、腐葉土や朽木などを、多くの生き物(カブトムシの幼虫や成虫をたべる生き物)が利用可能な動物性のタンパク質に変換する役割も担っているものと考えられます。
 また、カブトムシの成虫は、頭部の突起で木を削り、樹液が出るようにするため、間接的に他の昆虫に樹液を提供する役割を担っているとも言えます。

◆参考文献等

1.Wataru KOJIMA. Temporal niche shifts driven by interference competition: Giant hornets excluderhinoceros beetles at sap sites at dawn. Ecology., 06 November 2022
2.Futo Asano. Arisa Tsuboi. Shigeharu Moriya. Tamotsu Kato. Naoko Tsuji. Teruno Nakaguma. Hiroshi Ohno. Hirokuni Miyamoto. Hiroaki Kodama. Amendment of a thermophile-fermented compost to humus improves the growth of female larvae of the Hercules beetle Dynastes hercules (Coleoptera: scarabaeidae). Journal of Applied Microbiology, Volume 134, Issue 1, January 2023, lxac006.

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